国際線のスケジュール期間は、下記に示すようにIATAが北半球をベースに夏ダイヤと冬ダイヤとして定義しています。これは主に欧州で導入されているサマータイムの期間に合わせた設定で、IATAのメンバーにもともと欧州の航空会社が多かったことに端を発しています。
(1) 夏ダイヤ | 3月の最終日曜日から10月の最終日曜日の直前の土曜日までの7か月間 (調整開始は前年10月、IATAスケジュール会議は前年11月開催) |
(2) 冬ダイヤ | 10月の最終日曜日から翌年3月の最終日曜日の直前の土曜日までの5か月間 (調整開始は当該年5月、IATAスケジュール会議は当該年6月開催) |
この夏・冬ダイヤを、半年程先行して6月と11月に行われる年2回のIATAスロット会議(Slot Conference)を経て、各航空会社はそれぞれのスケジュールを確定していきます。会議が開催される前の5月と10月には、リクエストの取りまとめやスロットの配分計画を作成するなど短期間に集中的な作業を行います。航空機という限られた資産を最大限有効に使えるような運航計画を作ろうとするスケジューラーにとっても、寄せられる沢山の希望を規制値内に収めなくてはならないコーディネーターにとっても、かなりハードな準備期間となります。
発着調整は世界共通のガイドライン並びにローカルガイドラインに従い、スケジューラーとコーディネーターの間で行われますが、両者の調整にはコンピューターを利用しながら、空港の様々な規制値内に収めるように、各航空会社と緊密な連絡を取り合いながら行われています。
世界共通のガイドライン(WASG)の中で特徴的なものとして、まず、「ヒストリックの優先」と呼ばれる先例優先の原則があります。これは「ある年の夏期あるいは冬期に運航予定便数の80%以上を運航した場合、翌年の同時期にリクエストすれば優先的に同じスロットが確保される」というもので、航空会社は安定的・継続的なダイヤの設定が出来るようになります。ただし、運航実績が80%を切ってしまうと翌年同シーズンでの先例優先権を失います。これを“Use it or Lose it Rule"と言って、権利の上に安住することを許さないようになっています。
また、便数の少ない航空会社(その空港で1日当たりの発着回数が4回以下)に優先的にスロットを割り振ることも定められています。これらによって、混雑空港の貴重な資源であるスロットが最大限有効に活用されるよう、調整を図っています。