IATA は、International Air Transport Associationの略称で、日本語では国際航空運送協会と呼ばれています。各国の定期国際航空会社で構成され、約80年前に設立されました。現在、IATAは約330の航空会社で構成され、定期国際航空輸送の80%を占めるに至っています。IATAの本部は、カナダ、モントリオールにあり、スイス、ジュネーブにも管理オフィスがあります。日本においては、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、日本貨物航空(NCA)、日本トランスオーシャン航空(JTA)の4社がメンバーとなっています。
IATAの役割は、コスト削減、効率改善を念頭に置きつつ、乗客の利便性向上、手続きの簡素化を推進することです。IATAは安全を第一優先事項として掲げており、IATA Operational Safety Audit (IOSA)(運航の安全観察)を通じて、継続的に安全基準の向上を目指します。他のIATAの目標としては、環境に対するインパクトを軽減することもあります。
IATAは、人、物があたかも1つの国の中を1つの航空会社で運送されているかの様に、世界的な航空ネットワークの中でも同様の輸送形態が実現化することを保証します。IATAは、政策決定者の理解を得ること、国内、国際経済において航空がもたらす便益についての理解を深める努力を行っています。
WASG は、Worldwide Airport Slot Guidelinesの略称で、航空会社、コーディネーター、ファシリテーターが従うべき原理原則、手続き方法、処理過程などが定められています。この中では、航空会社、空港、コーディネーター、ファシリテーターの役割、発着調整における優先順位、‘Use It or Lose It' 規則等が規定されています。WASGは、IATA、ACI(Airport Council International)、WWACG (Worldwide Airport Coordinators Group)の3者により、開発・維持管理が行われています。
WASGにおいては、空港の混雑度合いに応じて、下記の3つに分類されています。
SSIMは、Standard Schedules Information Manualの略称であり、各航空会社がスケジュール・データ等の情報を交換する場合に、相互互換性をもたせるために定めた航空業界基準であります。発着調整業務においては、スケジュール・データをインターネット経由等で交換するため、メッセージ種類、メッセージ様式、航空機コード、航空会社コード等を統一する必要があります。
国際線のスケジュール期間は、下記に示すようにIATAが北半球の夏ダイヤと冬ダイヤとして定義しています。これは主に欧州で導入されているサマータイム期間に合わせた設定となっており、IATAのメンバーにもともと欧州の航空会社が多かったことに端を発しています。
WASGの中で特徴的なものとして、「ヒストリックの優先」と呼ばれる先例優先の原則があります。この原則は、「ある年の夏期あるいは冬期に運航予定便数の80%以上を運航した場合、翌年の同期にリクエストすれば優先的に同じスロットが確保される」というもので、航空会社は安定的・継続的なダイヤの設定が出来るようになります。
U/L ルールは、"Use it or Lose it"の略称です。上記の「ヒストリックの優先」の権利は、運航実績が80%を切ってしまうと翌年同期で失われてしまいます。これを“Use it or Lose it" ルールと言って、航空会社が権利の上に安住することを許さないようになっています。
これはIATA指定の世界85程の混雑空港を担当するコーディネーターと、当該空港に乗入れ、あるいは乗入れを希望する航空会社のスケジューラーが一堂に会し、乗入れ希望の時間調整を行うための活動の場です。ちなみに、IATAへの加盟、非加盟を問わず、世界中から230以上の航空会社のスケジューラーと、85以上の混雑空港のスロットを管理するコーディネーター等を合わせ1,000人程の参加がある大きな会議です。